相談者は、製薬会社のセールスマン。仕事柄、勤務が定時に終わることはまれであり、得意先との商談の後、会社に戻って再び資料を作るために残業することもしばしばでした。
相談者は、製薬会社のセールスマン。仕事柄、勤務が定時に終わることはまれであり、得意先との商談の後、会社に戻って再び資料を作るために残業することもしばしばでした。
営業の仕事が定時に終わらないのは承知している。そのことを見越してセールス社員には営業手当を支払っている(みなし残業制)。従って、残業代を支払う必要はない。
給与明細に営業手当の項目はありましたが、基本給の一部を項目変更したものでした。しかも、これについて相談者が同意したわけではなく、雇用側が変更したものであることもわかりました。
残業代が営業手当に含まれているという雇用者側の主張は一方的なものであり、しかも労働者の同意なく就業規則を書き換えて、労働者に不利益な条件を押し付けていた点を指摘しました。
営業手当を支給しておけば残業代は不要と考えるのは、雇用者の勝手な論理です。このケースと同様、手当に占める残業代の額が不明確であることが多く、残業代カットの意図が隠れていることが少なくありません。もしも、残業代を含む営業手当であっても、規定を超える時間外労働については割増賃金を請求できます。
支払われていた営業手当は時間外労働の対価には当らないという判断が下され、不払いを正当化するには至りませんでした。
その結果、未払い分の残業代計算については、別名目の営業手当も残業代計算の基準賃金に可算されることになり、かなり高額の結果を獲得することができました。
※2020年4月以降は時効期間が3年になりました。
残業代が請求できるかどうかのポイントについて詳しく解説しています。